火舟図の如く造リ方大丈夫にして大筒
小筒厳重ニ備ヘ舟中にて石炭を焚
海上ニおいてハ■■自儘に見得た利
殊ニ波風を不嫌夘月下の一日巳之
中刻当澗入いたしアメリカ海岸
惣大将ベロリと申もの并広東人
ラシン通辞抔合て三百弐三十人程も
乗組候趣 応接方早速罷出候得共
江府表より之御書付不相渡候由全体
ウリヤムスト申通辞至而人柄あしく
して強情之由翌下ノ二日弁天町
山田屋寿兵衛宅ヘ大将并士官之もの
七八人連ニ而上陸応接方
当御奉行工藤茂五郎様御直談
箱館湊
退船之図
船名
ホウタン
鮑丹 1
船主提督ピリ
長サ四十五六間
幅 十二三間
車 差渡 四間余
乗組三百人余
幅 弐間たらず
橋舟之義者壱艘ニ付五六艘位宛有之候
右橋舟色ハ青黄赤白黒ニして図の如く
火舟両艘汐首沖より相見得候節澗掛リ
三艘ニ而五六百匁位ノ鉄炮三発打
火船図の如く大丈夫にして前同断
巳之中刻当澗掛リ都合五艘沖之口
沖手より澳出シヘ相掛リ先ン三艘之折ヨリ
暮六ツ時半頃并明方鉄炮一発宛
有之候所右火舟澗掛リより一発宛ニ候へ共
筒音ト高く相聞得候乗組三百人余
船名
ミシセヒ
美士■ 2被 3
船主リ
長サ四十二三間
幅 十間余 車 鮑丹 4ニ応ず
亜墨利加洲海岸惣大将ベロリ
ト申モノカ面体図の如くにして背ノ
高サ六尺四五寸上着并股引極々
上羅紗肩ニ金ノ針金ノ総アリ
冠リモノ黒皮ニシテ紋所金紗牡丹
金ニ等シク候へトモ金滅金ナルヘシ剣
之儀ハ金作ニ等シク候へトモ是モ滅金
ナルヘシ手首ニ金紗ニ而三筋模様アリ
此筋ニヨツテ高下ノ官定メ手ニ携ヒ
候モノ杖ナルナシ
火船鮑丹 5ニ乗来リ卯月下ノ二日
山田屋寿兵衛宅ヘ上陸
(ペリー図)
アメリカ人トモイヘリイキリス人トモイヘリ
面躰図ノ如シ上着股引トモ羅紗ナリ
手首ニ金紗ニテ二本ノ筋アリ是士官ノ
モノナルカ冠物黒皮ニシテ大将ヘロリニ
ヒトシ 着物裏ノ儀ハ和風ニシテサマゝ
アリ肩ニ金紗ニテ二寸ニ三寸斗リ之
太刀打同様ノ模様アリ
(士官図)
アメリカ人士体ノモノニして上陸ノ折ニモ
莨ヲ好 面体図ノ如シ 上着股引何レモ
上羅紗冠リモノ前同様也莨好ミ候
ユイカ涎赤ク言舌ハ此モノニ不抱五音
不相分 背ノ高サ六尺四五寸 中肉ニシテ
食事塩モノヲ不好甘キモノモ余リ不好
梨子薩摩芋其外魚類相好ミ分テモ
鱒相好ミ全体アメリカ洲ノモノ食事
不行儀ニして見苦鋪余ノ礼法ヲ是ニ順シ
此モノトモ滞舩中上陸いたし候食事
何レモ此モノニ等シ
(士官図)
アメリカ人背ノ高サ六尺余面躰面図ノ
如シ冠リモノ唐葭極細くシテアミ立候様ニ
相見エ着物股引何レモ羅紗也手ニメリヤス
相掛此モノニ肩先ニ金ノ模様ナシ手首
ニモ模様ナシ身分不相知何レ下官ノモノ
ナルナシ滞船中上陸致初ニ三日中
此躰ノモノ惣而気荒くシテ
(図)
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